2023年8月30日。アメリカではじめて山に入る日の前日、ふもとのキャンプ場でデイビッドと出会った。
なんでも彼はシエラの山にマスを釣りに来たらしい。
入山する登山口は違うけれど、途中まで方向は同じだからと一緒にヒッチハイクをすることになりました。
デイビッドとの出会い
この日は町のはずれのキャンプ場に泊まっていました。
日が落ちてさすがに薄暗くなってきて、もうそろそろ寝ようかなぁと思って寝袋に入っていたら、なんか周りで足音がする。
どうも他のキャンパーが近くのサイトに来たみたい。車の音はしなかったから、僕と同じハイカーでしょう。
僕のテントの周りをウロウロしている雰囲気がするから、ちょっと顔を出して挨拶してみる。
「こんばんは」
「こんばんは。JMTのハイカー?」
「そうだよ。あなたも?」
「いや。オレは釣りをしに来たんだ。」
そんな感じで二言、三言交わして、その晩はおしまいでした。顔もはっきり見えないくらい暗くなっていたので、さっさと寝ることにしたのです。
翌朝。
朝飯を食べながら改めておしゃべりしました。
彼の名前はデイビッド。シエラネバダにはマスを釣りに来たらしい。
山上の氷河地形には湖が点在しており、そこには何種類かのマスが生息しているのだそうだ。お目当てはゴールデントラウトとのこと。
彼はすでに今シーズンの山に入っていたようで、トレイルの状態をいろいろ教えてくれました。
「もうすぐ9月なのに雪がかなり残っている」
「雪が多いせいで今年は水が多い」
「この辺の川はいつもは干上がってるんだ」
「水が多いせいで蚊もやたら多い」
「山の上は夜は氷点下だから気をつけろよ」
などなど。
現地の人から得られる情報は貴重だ。とても助かる。
ヒッチハイク・ハウツー
泊っていたキャンプ場からトレイルヘッドまでは、10マイル弱くらい距離があります。
バスなどないので歩くつもりでいたのだけれど、デイビッドに誘われて一緒にヒッチハイクすることになりました。
「実は僕、ヒッチハイク初めてなんだよね」
「そうなのか。でも簡単だよ。やりかた教えてやる。」
マジか、ありがてえ。師匠と呼ばせていただこう。
あまり交通量が多くないので、師匠と一緒に山に向かって歩きながら、乗せてくれる車を待つことにしました。
ポイントは目的地に向かう車が通る道であること。路肩に停められるスペースがあること。
この道の先には山しかないから問題なしです。
車が来るたびに親指をたててアピールし、通り過ぎる車には手を振って見送りました。
今年の大雪で道路や水路にダメージが出ているらしく、土木作業系の車両を多く見かけます。
「このエリアはロサンゼルスの水源になっていてな、パイプラインを通してここの水を輸送しているんだ。」
土木系の車両はその業者だろうとのことでした。
そうこうしているうちに一台のピックアップトラックが止まってくれ、無事荷台に乗せてもらうことができました。
これが僕の人生初のヒッチハイクの経験で、この後も旅の中で3~4回ヒッチハイクすることになります。
そういう意味で、旅の初めにヒッチハイクを経験出来たのは幸運でした。
ありがとう、デイビッド。ありがとう、ピックアップトラックの運ちゃん。