JMTハイク計画の舞台裏:出発前に考えていたこと

2023年ジョン・ミューア・トレイル(JMT)ハイキング日記。

この記事では、出発前に考えていた旅の計画について解説したいと思います。

計画を立てるにあたって、まずは以下の項目について考えました。

  • 歩く時期はいつ頃がいいのか?
  • 何日でスルーハイクできそうか?
  • 途中どこの町で補給(リサプライ)するか?

目次

ハイキング適期について

まず、歩く時期は9月にしました。

例年、シエラの夏山シーズンは7月~9月で、それより早いと雪が多く残り、遅いと雪が降り始めるということです。

日本だと、富士山のシーズンとだいたい同じ感覚ですね。

当初はシーズンど真ん中の8月に歩こうかと考えたのですが、2023年は記録的に雪が多く、雪解けも遅い、ということを知りました。

雪が多いとトレイルが埋まってしまうだけでなく、川の水量が増すので渡渉が難しくなります。

また、8月は例年蚊が多く、アメリカの夏休み期間中のため人出も多くなります。

一方で、9月は下旬にかけて気温が下がっていくものの、天気は安定しており、ハイカーの数も蚊も落ち着くとのこと。

それらの情報を頼りに、JMTは9月にして、8月は日本の夏山で練習しようと考えたのでした。

スルーハイクに必要な日数

JMTの総距離は211mile(340km)です。

全体通してシエラネバダの山岳地帯を行くので、アップダウンもかなりあり、ハイキングと言いつつ実質は登山です。

これを何日で歩くか考える際には、

  • 自分がどれだけのペースで歩けるか?
  • 何日分の食料を担ぐか?

のバランスが大切になります。

食料が多いとその分荷物が重くなり、ペースが落ち、次の町に到着するまで日数がかかり、そのためにはやっぱり食料が多く必要で…といった負のループにはまるのです。

また、町からJMTに入るまでも大概10~20mileは離れているので、それだけで1日がかりです。

町へ降りる回数が増えるとそれだけ日数も必要になります。

脚には自信があったので、調べたり聞いたりした感じから、1日あたり15~20mile(24~32km)は歩けるだろうと考えました。

普通に考えて、1日24キロはなかなかの距離です。

自分も最初は「毎日20キロ以上?いやいや無理でしょ」と思っていました。

日本での山歩きの感覚だと、余裕をもって山小屋にたどり着かないといけないし、午後は天気が崩れがちだから早めに切り上げたい。そんなことを考えるからです。

ですが、シエラネバダでは、

  • 日照時間が長い
  • 好きな場所で野営できる
  • 夕立のような気象リズムもない

といった事情から、このくらいの距離でも現実的らしいのです。

実際に現地で歩いてみても、9月上旬のJMTは朝7時から夜19時まで、12時間くらいは行動可能でした。

途中で2時間休憩をとったとしても、時速2mileで10時間歩けば1日20mile歩けてしまいます。

(ただ、普通に体力的にしんどいので、後半は1日15mileくらいで切り上げて、17時にはテントを張ってまったりするスタイルに落ち着きました。)

1日に15mileのペースだと、大体14日でJMTを歩ける計算になります。

14日分の食料は持てないので、途中で一回は町に降りてリサプライが必要です。

なので、大枠の計画としては、7日で100mile歩く⇒町に降りる⇒7日で100mile歩く、という風にしようと考えました。

町での補給について

JMTの周りにはいくつかの町(や村?)があり、それらが食料調達などハイキングの準備の拠点になります。

代表的な町は、北から、マンモスレイク、ビショップ、ビッグパイン、インディペンデンス、ローンパイン、です。

また、町ではありませんが、ヨセミテバレー、レッズメドウにはキャンプ施設があり、食料も購入できます。

これらのうちで大きな町はマンモスレイクとビショップです。

ほかの町は規模が小さく、宿泊施設の数やショップの品ぞろえが心もとありません。

そして、諸々の事情から補給はビショップで行うことにしました。

ビショップを採用したのは、ちょうどJMTの真ん中に位置しており、補給1回でJMTを歩く場合に具合がいいからです。

また、これは2023年特有の事情なのですが、大雪の影響で橋が落ちてしまい、通行できない箇所がありました。

そこを迂回するためには一度ビショップ側のトレイルに逸れる必要があり、そういう意味でもビショップに一度降りるのが都合がよかったのです。

South Fork San Joaquin River Bridge damaged – Pacific Crest Trail Association (pcta.org)

出発前に考えていた計画

さて、以上の考察から、

7日で100mile歩く⇒ビショップに降りる⇒7日で100mile歩く

というところまで固まりました。

あとは北から歩くか、南から歩くかですが、僕はパーミット申請に出遅れたため、選択肢は多くありませんでした。

9月上旬でパーミットが空いているトレイルヘッドを探し、たまたま空きがあったシェファードパス・トレイルヘッドから入山することにしました。

シェファードパス・トレイルヘッドの最寄の町はインディペンデンスです。

なので最終的な計画は、

インディペンデンス⇒7日でビショップまで歩く⇒ビショップでリサプライ⇒7日でヨセミテバレーまで歩く

というものになりました。

以上が、日本で事前に考えていたハイキングの計画です。

今から考えるとかなりざっくりで不確かな計画だったと思うのですが、当時は勝手がわからないなりに頑張って考えたのです。

(しかし、この計画は現地で山に入った2日目で瓦解し、以降はアドリブで行動することになるのでした…)


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gaku
自然と運動をこよなく愛するアラサー会社員。 主に東京近郊の低山をうろうろしているが、最近は八ヶ岳エリアが気になっている。ダイビングに目覚めて伊豆の海にも進出中。 2022年の目標はテント泊登山にチャレンジすること。